医学部生活

ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京2019に参加してきました

ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京2019とは?

画像引用:nobelprizedialogue

大学で掲載されていたポスターを見る前はイベントの存在自体知らなかったのですが、日本では日本学術振興会とノーベルメディアABが主体となって開催されているイベントです。

本会議は、社会の学術・科学技術への関心・理解度を高め、科学技術・学術の振興に寄与することを目的として、ノーベル財団傘下組織として広報部門を担うノーベル・メディアAB(注)が2012年からスウェーデンにおいて毎年ノーベル賞授賞式の前日に開催している一般向けの公開シンポジウム「Nobel Week Dialogue」を日本でも開催するものです。

引用:日本学術振興会

なぜ私が今回参加したかというと、、、

なんとノーベル賞受賞者が5人も一気に会するイベントだからです!

しかも2018年ノーベル生理学・医学賞を受賞した、あの本庶 佑先生もご登壇ということで、ポスターを見かけてからワクワクが止まりませんでした。

しかもこのイベント、ノーベル賞授賞式を行うスウェーデン以外では、日本が唯一の開催国です。

この機会を逃す手はないですね!

とりあえず予習。

ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京に参加するためには

2012年から開催されているこの催しですが、2019年は3月17日開催です。

応募は公式の特設サイトから可能で、2019年は2月5日から受け付けていました。

本年のテーマは“The Age to Come”「科学が拓く明るい長寿社会」です。

一般参加ということで誰でも参加可能です。定員は1000名ということで、あっという間に締切となりました。

しかもこのイベント、参加費無料&昼食付きということで応募完了時点でウキウキです!!!

ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京2019の当日の様子

今年度はパシフィコ横浜での開催でした。

開会はAM10:30で、受付は9:30からとのこと。

受付のメールには

"座席指定はありません。メインホールが満席の場合は中継会場にご案内することがありますので、あらかじめご了承願います。"

との文字が、、

中継はネットでもみられるので、パブリックビューイングに回されては元も子もありません。

ギリギリに行く予定でしたが、9:50に会場に到着しました。

なんだか豪華なレセプションでテンションが上ります!

これまたおしゃれなIDを渡されます。スウェーデンの代表企業を始め、さまざまなスポンサーのおかげです。

10:00頃の会場内です。通路側や中央の見やすい席は殆ど埋まっています。外国人の参加者も多数見受けられます。10:20にはほぼ満席となり、立ち見もちらほら。空席があったとしても、約15人がけの椅子のど真ん中にある1席のために人をかき分けて着席するようになります。早めに行くのがおすすめです。

いよいよ開始です!

序盤は学術振興会やノーベル財団、文部科学大臣によるオープニングや基調講演です。

対話「21世紀における罹患率と死亡率」

休み時間には尺八の生演奏がありました。渋い時間が流れます。

脳トレで有名な川島隆太先生Cyclinを発見したティム・ハント先生による対話「楽しく賢く歳をとる」です。

脳年齢を測る会場参加型のゲームや、2人の軽妙なトークで会場が湧き上がりました。

ノーベル賞受賞者のティム・ハント先生が脳の活性度を測る装置をつけ、川島先生が計算など簡単な作業を促します。

足し算などで若干つまずくティム・ハント先生ですが一言「数学は唯一落とした科目だよ笑」

なぜか勇気づけられた元文系医学部生でした(間違えなく数学のレベルが桁違いなのですが)

Agingがテーマということで、年輪をモチーフとしたデザインが随所にみられます。

待ちに待ったお昼ご飯です!サンドイッチはとんかつ・メンチカツ入orベジタリアン用から選ぶことができます。

スポンサーのYakultから、ヤクルトももらえます。

協賛企業のブースもちらほら。

午後の分科会を経て、

ついに!

本庶佑先生のご登壇です。「獲得免疫の驚くべき幸運」というテーマで15分間のショートレクチャーでした。

個人的には、免疫チェックポイント阻害薬の効果が腸内細菌叢により修飾されるという点を知らなかったので、新しい発見でした。

本庶先生はこうもおっしゃっていました(私の意訳です)。

これまでは免疫学や生理学など1つ1つの学問がそれぞれ深く掘り下げられてきたが、実際の生体ではそれらが協調している。

次世代では分野の垣根を超えて研究を進め、理解する必要がある。

医学の勉強も分野別にインプットしがちですが、便宜上そうしているだけであって、実際の生体内では連関していることを忘れてはいけないなと思いました。近年第2の脳ともいわれる腸内細菌叢ですが、まだ知られていないだけで全身の様々な臓器と関連している可能性を考えるとワクワクしますね。

最後はノーベル賞受賞者5名が一挙に介して対談です!

とても贅沢なシーン。

AM10:30からPM5:30まで、興奮の連続となるイベントでした。

参加後の感想

上述の本庶先生の言葉に加え、Agingがテーマの今回のイベントに参加して感銘を受けたことがあります。

高齢化社会といえば社会問題であり、「子供の数が減少し、老人が増え、誰が年金払うんだ!」という議論も巻き起こっています。

しかしながら、視点を変えてみれば、高齢化はすなわち長寿化であり、医療の進歩やこれまでの人類の努力によって勝ち得た成果です。

高齢化社会を嘆くよりも、現在の状況をもっと喜ぶべきという議論を聞いたところで、なんだかとても前向きな気持ちになれました。

FACT FULLNESSという本にもあるように、一見世界の先行きは不透明で、今後ますます悪くなっていきそうな気がします

でも、実際はこの20年で極度の貧困にある人は半減していますし、世界の子供の80%が予防接種を受けられるようになってきています。

簡単に実感は湧きませんが、世界は間違えなく進歩しているのですね。

長寿化と医療は断ち切れない関係にありますので、将来それに携わるものとして、それに付随する問題を考えていけるようになりたいです。

最後に、世界人口の平均寿命をご存知ですか?

50歳? 60歳? 70歳?

実は70歳まで上昇しているんです。

FACT FULLNESSはオススメの1冊です。

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