目次
「学生時代の基礎医学のなかで、もっとも役立った科目」を尋ねたとあるアンケートによると、病理学は第3位にランクインします。(引用:メドピア)
病理学を学ぶと、細胞1つ1つのミクロレベルの変化が疾患を引き起こすことが理解できるようになります。
PathologyはPathos(苦しみ=病気)の学問ですので、まさに病気の本質を捉えるための科目と言えるでしょう!
そのため、病理学は臨床に出てからも重要な知識として残るのでしょうか(ちなみに1位は解剖学、2位は生理学です)。
以前病理学の講義で「デキる外科医は病理をよく理解している」とおっしゃる先生がいました。病理の道を歩む以外にも、どうやら病理学は一生懸命身につける必要がありそうです。
今回は病理学のおすすめ教科書と勉強法をご紹介します。
病理学のおすすめ教科書
標準病理学
わたしが使用するのは安定の標準シリーズです。全878ページの標準病理学は厚すぎず薄すぎず、学部講義レベルの疑問は基本的に解決してくれます。
概念→成因→病理形態像→臨床との関連という流れでどの疾患も解説されているので、内容を理解しやすいです。主要な疾患の画像も豊富に掲載されています。
是非手元に置いておくことをオススメします!
ロビンス基礎生理学
海外の医学生の間では、ロビンスが定番のようです。日本語版の翻訳が読みづらいというレビューは度々散見しますが、個人的にもそのとおりだと思います。
海外研修に行った際に原著版を入手し、パラパラと読んでいます。平易な英語ですし、読みやすいです。
カラーアトラス 病理組織の見方と鑑別診断
こちらはアトラスで、1ページの半分が画像、半分が解説の文章といった構成です。疾患の要点ときれいな画像でパラパラと読みやすい一冊です。章のはじまりに正常組織像が載っているのも復習に嬉しいところです。
鑑別疾患の考え方まで書かれているため、より臨床的といったところでしょうか。しかしながら、学生レベルでも理解しやすく解説されています。
Amazonで中身が読めるので、立ち読みしてみてください。
【番外編】 こわいもの知らずの病理学講義
阪大の教授が病理学の講義内容を「近所のおっちゃん・おばちゃん」向けに書いた本です。私は病理学の講義が始まる前に読んだのですが、今思えば病理学のエッセンスが詰まっていて、「ほえー」となる内容も多く面白かったです。
気軽に読める一冊としておすすめです。
病理学の勉強法
・病理学として勉強しない
病理学は1つの学問として独立していますが、頭を整理する際には臨床科目と融合させるのがポイントだと思います。
例えば循環器の講義で各疾患について学ぶと思います。その際に、病気がみえるでは主要な病理組織像が必ずのっているので、その時点で病理の概要もインプットしてしまいましょう。
臨床科目では病理を確認し、病理では臨床科目のことを思い描くなど、相互にリンクした勉強を心がけるのがオススメです。
・病理コア画像 を活用する
病理コア画像は日本病理学会が無料で提供してくださっている素晴らしいサイトです。
全248疾患が掲載されており、その中でもminimal essentialな100疾患がコア画像として選出されています。
画像引用:病理コア画像
講義の際など、サッと病理画像を確認したいときはgoogleで「(疾患名) 病理コア画像」と検索すると、すぐに画像を見ることができます。とても便利ですので、是非活用してみて下さい。
まとめ
・病理学で病気の本質を学ぶ
・標準病理学もしくは好みでロビンス基礎病理学がおすすめ
・病理学と臨床科目をリンクさせて勉強する
・病理コア画像を活用する