基礎医学は2年生までに学ぶ
早いもので学期末試験を終え、2年生が終わりました。日々試験に追われ、医学部生活も何だかあっという間に終わってしまいそうです。
日本の医学部は6年制なので、多くの大学で1-2年で教養と基礎医学を学び、3-4年で病気を学び、5-6年生で病院実習を行います。まずは人体の正常な構造を学んだのちに、疾患について学び、次いで現場で学ぶという流れです。
学士編入試験の勉強をしていた頃、講師が「鹿児島は組織学が少し出るのでー」とか「詳しいことは入学後に生理学の先生から学んでください」なんて言っていました。しかしながら、そんな非日常語を話されてもよくわからなかったことを覚えています。
そこで、これまで学んできた基礎医学の科目を紹介してみようと思います。
医師が考える「最も役立った基礎医学科目」
医師専用の情報サイトMedpeerで行われた会員医師へのアンケートによると、以下の解答が得られたそうです。
サマリー:
医師専門サイトMedPeer(メドピア)に登録する医師(7万人以上)を対象に「学生時代の基礎医学のなかで、もっとも役立った科目は何ですか」という質問をしたところ、3,648件の回答が寄せられた。■「解剖学」と回答した医師が最も多く、47.7%と半数近くを占めた。画像解析や手術の理解に欠かせない知識という意見が多く、「解剖学は今もう一度実習したい」「今も解剖の教科書を開くことが多い」といったコメントがみられた。
■「生理学」は16.2%。「正常生理がわからないと病態生理もわからない」「一般内科疾患の病態理解のために役立っている」というコメントがあり、特に循環器系、呼吸器系、神経系などの分野で重視されている。
■「病理学」は9.9%で、「癌を扱うので、病理は必須」「病気のメカニズムを理解するのに役に立つ」といった声があった。引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000010134.html
ということで、主にこの順番で紹介してみたいと思います。
解剖学
解剖学は人体の正常な構造とその機能について研究する学問です。座学で各組織の位置や名称、機能を学びつつ、私の在学している大学ではおよそ4ヵ月間の解剖学実習を行いました。実習では献体頂いた方のお身体で、その構造について学ばせて頂きました。献体頂いた故人のお気持ちの分、一生懸命学びたいという緊張感と共に、人体構造の美しさに吸い込まれるように学び、今後医学を学ぶ上での礎を築くような科目でした。
組織学
上記の解剖学は肉眼解剖学とも呼ばれ、対する組織学は顕微解剖学とも呼ばれます。その名の通り、顕微鏡を用いて染色や固定された標本を観察します。私の大学では講義と顕微鏡による実習でひたすらスケッチを描きました。
生理学
生理学は生体の機能とそのメカニズムを研究する学問です。神経系や運動、循環、消化吸収、内分泌、生殖などその対象は多岐にわたります。
病理学
病理学は病気の原因や診断、発生に至る過程について研究する学問です。細胞が破壊される過程や代謝障害、循環障害、感染症、そして腫瘍についても学びます。組織学で正常構造を理解していないと、その異常を学ぶ病理学ではつまずいてしまいます。
最近読んだ「こわいもの知らずの病理学講義」は阪大の先生が「近所のおっちゃん・おばちゃん」向けに書いた本です。医学の勉強をまだしていない方が、笑いながら病理学のイメージをつかむにはピッタリの1冊です。
薬理学
薬理学は治療薬=化学物質と生体の相互作用について研究する学問です。残念ながら未だ講義を受けていないのでコメントは差し控えますが、先輩は暗記に苦しんでいるようです。
生化学
生化学は生物学の一分野とされ、生体内の現象を化学的に研究する学問です。例として糖・アミノ酸・脂質の代謝や酵素の働きについて学びます。勉強してみるとその合理的な機能に感動したのですが、試験では暗記要素が多く中々辛い科目です。
微生物学
画像引用:Realtime raboratories Inc.
微生物学は生物学の中でも微生物について研究する学問です。病原となる細菌や真菌、ウイルスについて学びます。正常構造についての勉強が続く中、インフルエンザや食中毒など身近な疾患も登場し、個人的には楽しく学べました。やはり実体験として学べる科目は理解しやすいです。
まとめ
私自身、学士編入試験の勉強をしている際に基礎医学のイメージがわかなかったので、その一助になれば幸いです。2学年ではこれらを必死に勉強してきた結果、終わってみると医学の片鱗がわずかながら見えてきた気分です。来年度からの臨床医学の勉強が楽しみです。