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病院実習で悩むカルテの書き方
いよいよ医学部の集大成ともいえる病棟実習が始まりました。
初日から困ったのがこの一言。
「んじゃ、とりあえずカルテ書いといて」
まず電子カルテを開いたことがない。
そしてカルテのログイン方法がわからない。
#、S、O、A、Pの項目には何を書けばいいんだ!?
「Sは主訴(SYUSO)を書けばいいんじゃない?」という怪しい同期の声が囁く、、、
指導医の先生によっては懇切丁寧に教えてくださるのですが、ポリクリでは結構自律性を求められたりもします。
その是非はともかく、病院実習は決められた講義を受けられるだけの座学と比べて大きな転換点を迎えており、
やはり能動的な勉強は欠かせないと思います。
とはいえカルテは先生によって、そして各科によってフォーマットがバラバラですよね。
どの先生のカルテを真似すべきなのかもわかりません。
そこで、今回紹介する一冊は系統的にカルテ書きを独学するのにピッタリの一冊です。
「型」が身につくカルテの書き方 佐藤 健太著
今回紹介する「型」が身につくカルテの書き方の著者、佐藤先生は「病院家庭医を目指して」のブログでも有名な内科医の先生です。
この本は週間医学会新聞の連載をベースに加筆修正されまとめ上げられたもの。
「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる」(by 立川談志)
うーん、含蓄があります。
この本のおすすめポイント
- 医学生、研修医向けなのでわかりやすい(厚さは1センチでサクサク読める!)
- ダメカルテといいカルテ例の記載が参考になる
- 基本の型、入院時、経過記録、退院時、初診外来...などシーン別構成なのもgood
医学生、研修医向けなのでわかりやすい
医学生・研修医向けなので、平易な表現でとてもわかり易く書かれています。
先生自体、学生時代にカルテの書き方がわからず奮闘したエピソードにも共感できますし、
その後も指導医として様々なカルテ記述の指導をなさってきたご経験から、どの記載にも納得の一言です。
ダメカルテといいカルテ例の記載が参考になる
カルテ記載の心構えの章では以下の記載があります。
ダメカルテの共通点
・「個人的メモのレベルで「集めた情報の羅列」と「思いついたことのリスト」になっている」
・S欄には患者のセリフがそのまま書いてあるだけ
・O欄には検査所見のコピーしかない
....
病棟では上記のカルテってたまに見かけますよね。それが正解だと思って真似しようと思っていましたが危ない危ない。
読み進めていくと、章ごとにダメカルテといいカルテ例が都度書かれており、大変参考になります。
基本の型、入院時、経過記録、退院時、初診外来...などシーン別構成なのもgood
外来でのカルテと、入院時のカルテ、救急外来のカルテは目的が異なるので、記載方法も異なってきます。
基本を見につけたらシーン別の記載を紹介しており、実務的にも勉強になります。
ちなみに各章に散りばめられたコラムも結構面白いです(カルテの歴史とか)
あえてデメリットをあげるなら
内科の先生が書いている本なので、外科のシーン例は有りません。
もちろん基本の型をしっかりと習得すればどんなシーンにも対応できるというコンセプトなので、
困ることは有りません。あえてマイナス面をあげるとしてたらこんな点でしょう。
まとめ
まとめ
- いきなりカルテを書くのは悩ましい
- ポリクリでは誰かに教わる機会は少ない
- 独学でカルテ書きの基本の型を身につけよう