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オススメされた内科学の教科書を学生目線で比較【朝倉内科学・中山内科学書・ハリソン内科学の特徴と比較】

先生「君が持っているその本はなんだね?」

(カバーを外したのに見抜かれたか!? 「病気がみえる」をすっと差し出す)

先生「そんな絵本ではイカン!、内科は成書の1冊は持つように!」

うかつに「病みえ」を持っていると、先生によってはまるで禁書を持ち歩いているかのような反応を示して下さいます。

先生の時代に「病みえ」があったら絶対に持っていると思うのですが。

少なくとも「病みえ」+「レビューブック」+「イヤーノート」+「予備校講義」を携えた先輩方が医師国家試験を突破していくのを目の当たりにしているので、成書が無くても国家試験は突破できるようです。

それでも病態生理をもっと理解したいとか、「病みえ」より文字をもう少し読みたいとか、海外の友人による「ハリソンみんな読んでるよ」という発言とか、先生方の助言とさまざまなキッカケによる好奇心にかられて成書を買おうかなという気持ちになりました。

この記事では内科学の教科書選びに際して、朝倉内科学・中山内科学書・ハリソン内科学の比較と特徴について紹介していきます。

朝倉内科学・中山内科学書・ハリソン内科学の特徴を比較

 

朝倉内科学

・日本全国の大学・病院、700名の精鋭執筆陣による最新の記述
・医師国家試験出題基準の内科関連項目を網羅する決定版
・新しく「心身医学」「老年医学」の章が追加
・各論冒頭の「新しい展開」で、第10版以降の医学の進歩と変化をわかりやすく記述
・本文の理解を深め、広げる豊富なデジタル付録がウェブ上で閲覧可能(本文500頁相当)

引用:朝倉書店HPより抜粋

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中山内科学書

・他社内科学テキストに比べて、情報は最新、ボリュームは最大。メジャー疾患の解説が充実。学生ばかりか研修医にとっても最適!
・今回も7分冊を実現、薄くて携帯に便利!関連分野でまとまり、効率的な学習が可能!
・診断ポイントの明示、典型的な症例写真で“見てわかる”教科書を追求!
・国試の出題傾向に対応した内容。
・現象面の説明にとどまらず、「どうしてそうなるか」の理由をキチンと解説。

引用:中山書店HPより抜粋

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中山書店
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ハリソン内化学

・現代の内科学の全容を、19パート、486章(うちeチャプター137章)の中に、詳細かつ的確に網羅。
・内容に即した分冊形態に生まれ変わり、第1巻は医学の成り立ちや主要症候の原理・評価について、第2巻は各疾患に関して臓器・システム別にまとめられ、利便性が高まった。
・第1巻は医学生・研修医が標準レベルの内科学の根幹を学ぶ上で適切であり、ほどよいボリュームで持ち運び易い。
・第2巻はすぐれたレファレンス、かつテキストブックとして詳細な解説を提供する。
・全パートにわたり細部にいたるまでアップデートを徹底。
・日本語版は初版発行以来14年を経て、節目の"第5版"。初版以来定価は据え置き、廉価を堅持。
・医学生、研修医、臨床家、そして現役引退まで医学者の生涯の座右書。

 

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正直各社とも似たり寄ったりの売り文句です。強いて言えば朝倉と中山は和書ですから、日本の国家試験の出題項目がカバーされています。



私が小耳にはさんでいた3冊の前評判

 ・朝倉内科学

icon-thumbs-o-up 国家試験も網羅されているし、日本の医学生の定番。多くの先生がオススメしている。
icon-thumbs-o-down 電子版が無い

 ・中山内科学

icon-thumbs-o-up日本の教科書、
 icon-thumbs-o-down 2013年改訂で古いあまり使っている人を見たことがない
(中山に関してはあまり話を聞かなかった)

・ハリソン内科学

icon-thumbs-o-up 病態生理が詳しい、そもそも情報量が豊富
icon-thumbs-o-down 日本の疫学は対応なし、治療方針が日本と異なることも

多くの人が朝倉とハリソンでどちらにするか悩むようです

 

実際に3冊を同じ項目で比較してみた

図書館で借りた朝倉内科学・中山内科学書・ハリソン内科学の3冊を、例として潰瘍性大腸炎の項目で比較してみました。

朝倉内科学

潰瘍性大腸炎については6ページにわたり記載がありました。

構成は以下の通り

・概念
・分類
・病因
・疫学
・病理
・臨床症状
・検査所見
・診断
・鑑別診断
・合併症
・予後
・治療
・文献

 

中山内科学書

中山にも6ページにわたり記載がありました。

構成は以下の通り

・概念
・歴史
・疫学
・病因
・分類
・病理
・病態生理/臨床症状
・検査
・診断/鑑別診断
・合併症
・治療
・経過/予後

 

ハリソン内科学

ハリソンに関しては「なるほど」と思いました。なぜなら潰瘍性大腸炎は単独の項目ではなく、Crohn病とまとめて対比させながら炎症性腸疾患という項目で扱われているからです。総ページ数は20ページでした。

構成は以下の通り

・世界の動向:疫学
・世界の動向:炎症性腸疾患の表現型
・病因および病態
・遺伝学的考察
-腸内共生細菌叢と炎症性腸疾患
-炎症性腸疾患における免疫調節の異常
-炎症性腸疾患における炎症のカスケード
・病理
-UCの肉眼的所見
-UCの組織学的所見
-Crohn病の肉眼的所見
-Crohn病の組織学的所見
・臨床症状
-UCの症状および徴候
-臨床検査、内視鏡検査、放射線検査所見
Crohn病について同
・潰瘍性大腸炎およびCrohn病の鑑別診断
・腸管外合併症
・治療(開発中の治療という項目も含め5ページ!)
・炎症性腸疾患と妊娠
・炎症性腸疾患と発癌

 

ここでは潰瘍性大腸炎について比較しましたが、他の項目でも同様にハリソンが手厚い傾向がみられました。

 

3冊を比較して考えたこと

この時点で私の心はかなりハリソン寄りに揺れ動きました。
情報量が多ければ良いという訳ではありませんが、遺伝的な機序も含め、前評判通り記述が深いという印象を受けたためです。

・ハリソンは一歩踏み込んだ記述?

更に以下の記事を目にしました
週刊医学界新聞  第3146号 2015年10月19日「なぜ日本の内科教科書は“ダメ”なのか」

日本の内科学の教科書は「量的な表記」が足りないのだ。もっというならば,「臨床的な眼差しが足りない」のだ。

個人的には日本の教科書には良さもたくさんあると思うのですが、実際に3冊を読み比べてみると「うーん、確かに」

・将来のUSMLE対策で参照できるかも

先日、USMLE受験に向けてFIRST AID Q&Aにボチボチ取り組み始めました。

Microbiologyを解いていると、Haemophilus ducreyiが引き起こすChancroid(軟性下疳)という性感染症が登場しました。

日本で感染することは極めて稀らしいので講義でも扱われなかったのですが(それか聞いていなかったのか覚えていないのか)、こうした疾患がUSMLE対策でもちょくちょく出現することが予想されます。

もちろん試験対策なのでFirst AidやそもそもMicrobiologyの本を読めばいいのですが、ハリソンには性感染症の項目がまとめてあり、しっかりと記載がありました。そのため、将来の本格的なUSMLE対策の際にも参照できるかなと思いました。

 

私的な結論

個人的にはハリソン内科学が当初の病態生理をもっと理解したいという目的を含めて合っていました。

さて、心はハリソンの購入に傾いていますが、何事にも欠点はあります

それは日本の疫学には全く対応していないという点。

しかしながら、この点については日常的に講義で解説されているので、その点は目をつむろうと思います。

また、日本で発見された疾患については日本の教科書の方が強いという当たり前の点については、図書館で和書を借りて参照することで対応するつもりです。

 

おすすめの朝倉内科学・中山内科学書・ハリソン内科学3冊の比較法

是非選ぶ際には、図書館で借りた3冊を比べて、同じ項目をひたすら読んでみると、自分に合った1冊が見つかるかと思います。

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ちなみにハリソン内科学の原著は第20版まで出版されています

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